十七歳の頁
2011年 06月 18日
手を伸ばせば届きそうだったのに
あんなにもあなたは
優しく暮れなずむ薔薇色の校舎
セピア色にとけた秋の日の放課後
白い息がすれ違った冷たい廊下
せつなさに胸が震えた
春休みの教室
はるか遠くに駆け抜けていった
あのときのあなたと
立ちすくんだまま置いてきぼりの
あのときの私が
もう二度と逢えなくなるなんて
思いもしなかったから
手を伸ばせば届きそうだったのに
あんなにもあなたは
流星のようだった
蜻蛉のようだった
私たち二人は
一度だけ同じ季節を過ごした
ひとりぼっちでも
寂しくはなかったと
十七歳の頁には
綴られているけれど
by soraemori
| 2011-06-18 20:35
| 恋歌