カテゴリ:いつか昔に書いた詩( 41 )

草むらの黄昏
カマキリの立ち往生

風に転がる命は
地平線の向こうへ



帰る場所があるんだね
安心してて
いいんだね
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by soraemori | 2011-10-17 12:05 | いつか昔に書いた詩


息を止めなさい
吸いこんでしまったら
あなたは悲しい夕暮れになる


風が冷たいでしょう
空気には
枯葉の匂いが混ざっているでしょう


それは 静かにひそやかに
朽ちていく香り
ゆるやかに みまかれる
昨日までの息吹





息を止めなさい
吸いこんでしまったら
あなたは悲しい夕暮れになる



私は既に 
居たたまれないのです
秋はゆっくりとじらすように
私の中に
落下してゆくので
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by soraemori | 2011-10-17 11:53 | いつか昔に書いた詩
家族
おとうさんがぶったので
おかあさんがないた
おかあさんがなくので
おとうさんはだまりこくった


おんぼろのふねのうえに
ちゃいろいちゃぶだいがぽかんと
とりのこされていた


ちゃいろのちゃぶだいのうえには
みんなのおちゃわんがのっかっている
あおいおおきなおとうさんのちゃわん(ふちがかけてた)
うめのはなのえがかかれたおかあさんのおちゃわん
うさぎのえのはわたし
がんばれろぼこんはおとうと


みんなごはんつぶをふたつみっつくっつけたまま
ちゃぶだいのうえでかたかたとふるえていた
ふあんそうに

おはしはばらばらになって
とうのむかしになみにさらわれてしまったので
ゆくえしれずだ



しずみそうでしずまないふねのうえの
おとうさんとおかあさんのかなしいよこがお
ちいさなおとうとはなにもわからずに
かぶとむしにすいかをあげている


ゆらゆらゆれるでんきゅうのしたのよにんは
かおのいろがあかるくなったりくらくかげったり
あおぐろくなったりきみどりいろになったりとせわしなくて
ずじょうをいくたびもあさとよるいききしているようで
ああそうすると
ときがたつのがとてもはやくて
としつきはとぶようにながれすぎていき


とうとうおとうさんがしんで
とうとうおかあさんがしんで
ふたりのなきがらをうみにしずめて
すっかりとしをとったわたしと
すっかりとしをとったおとうとが
ぼうぜんと
ただぼうぜんとちゃぶだいをはさんで
あかるいたいようのほうをみあげている



ふねはけっきょく
さいごまでしずまなかったのだ


うみはひろいな
おおきいな



わたしたち姉弟は
何故か
とてものびのびと
晴れやかな気持ちになっていた



生まれて初めて
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by soraemori | 2010-12-19 21:23 | いつか昔に書いた詩
冬の陽だまり

陽だまりに背をこごめ
あの人が新聞を読んでいる


埃舞う窓越しの景色は
水彩画の淡い冬


あの人の背中に降り積もる
砂時計の砂粒やら
ぽつりぽつり混ざり始めた
銀色の髪の毛を
私はずっと飽かずにながめていた


そっと背中に寄り添っても
あの人は微動だにせず
あたたかな体温だけが
物語る時の流れ


ふいにこぼれそうになって
こらえた言葉を
あの人は知っていただろうか


「ありがとう」
は出てこないのだ


ただ今は
夫とふたり
とけていたいと願う
冬の陽だまり
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by soraemori | 2010-12-17 14:31 | いつか昔に書いた詩
無題
夜をゆく
砂時計

星々の求愛
けものたちのかく鼾
風の奏でるそらうた
草木の歯軋り


しきつめられた溜息の隙間をぬって
さらさら落ちる
砂時計


起きているのは
月とそれから
夢間に溺れるさみしい人々



夜をゆく
砂時計


あいまいに落下した時間も
ひっくり返せばまた
新しい今日を運ぶだろう


それもようしゃなく
永遠に
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by soraemori | 2010-10-24 07:48 | いつか昔に書いた詩
無題
母になった日
神々の手の中で
私もまた神になる


混沌を宿してはぐくみ
それから世界に光を与えた



世界は少しずつ
私のもとから遠くなる
また別の世界と手をつなぎ
さらに大きく
広がっていこうとしている


私はいつしか役目を終えて
一人静かに還るだろう

最後の呼吸で世界を眺め
別れの接吻を送るだろう



広がり続ける世界の果てで
私は小さな森になりたい
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森になろうか、花になろうか、歌がよいのか、空になろうか・・・・・

まだ迷っています。

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by soraemori | 2010-06-08 23:39 | いつか昔に書いた詩
春の扉

扉はくちびる
春は夢
寝入りばなの浅い春


扉を開けて
受け入れよ
舌先かすめる
花の影
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by soraemori | 2010-03-18 23:32 | いつか昔に書いた詩
夕暮れ
夕暮れ
あかね雲

電信柱
誘蛾灯

木でできた塀
銀色のトタン

夕餉の匂い
豆腐屋のラッパ

道の端で揺れる花
紫色の風

女郎蜘蛛
すれ違う自転車のベル

小さく 小さく
かすかに消えて


それから・・・・


やわらかな終焉
永訣の今日





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そらのさかな詩集より
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by soraemori | 2010-03-03 22:17 | いつか昔に書いた詩
午睡


ああ
猫がいるね


猫はいいね
いつも自由だ



風のようだね

猫は風だね




あの風は今日も
いつもの屋根で
午睡をしている
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by soraemori | 2010-02-24 00:57 | いつか昔に書いた詩
鼻歌
玄関をあける

ちいさな声で
「ただいま」


むわん

台所からかけてくる
なたねあぶらのにおい


ふわん

お風呂場からさそいかける
バスクリンのにおい


「おかえりなさい」

母の声



つけっぱなしのテレビのニュースは
また 
ややこしい国のことを話しているね


靴下をぬいで
きゅん
冷たい床の上

足のうら
のびのびと
ようやく
大いばりだ



かちゃかちゃ

皿を並べる母の
古びたエプロンが
ゆれるのを
私はその場に突っ立ったまま
ぼんやりと見ていた






母が鼻歌を歌っている

また母が
鼻歌を歌っている

ヒトリゴトみたいに
ちいさく歌っている





外は冬だけど
この家の中はあたたかいねぇ

それでいいじゃない
それだけでもう
じゅうぶんじゃない


母の鼻歌が
古い家の壁に
反響して

こぉん
こぉん



私は少しだけ泣きたかった



でも
誰も
こんなときの泣き方など
教えてくれなかったから


そのかわりといっちゃあ
なんだけど


母の鼻歌の
つづきを歌う私
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by soraemori | 2010-02-23 01:03 | いつか昔に書いた詩



詠う。永遠に。
by soraemori
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