家路
2009年 06月 28日
くすっと
崩れかけた砂糖菓子のように
くたびれた身体を少し傾いで
私は家路を急いだ
ありふれた不幸と
消しカスのような平穏を
ぽろぽろとこぼしながら
そうやって小さく
家路を急いだ
ふと立ち止まったのは
風の気まぐれ
今日
初めて顔を上げた私を包む
薄くれないに染まる空
遠い国へと旅立つ帆船が
ビルの彼方に消えようとするさま
こんなにも甘美で
こんなにも切ない夕暮れの一部に
私も溶け込んでいるのだな
ためいきもいっしょくたに
織り込まれているのだな
そう気が付いた
この世界の調和を崩さないように
ていねいに歩こう
背筋を伸ばして悠々と
私の家に帰ろう
by soraemori
| 2009-06-28 11:19
| 未完成