<   2010年 12月 ( 2 )   > この月の画像一覧

家族

おとうさんがぶったので
おかあさんがないた
おかあさんがなくので
おとうさんはだまりこくった


おんぼろのふねのうえに
ちゃいろいちゃぶだいがぽかんと
とりのこされていた


ちゃいろのちゃぶだいのうえには
みんなのおちゃわんがのっかっている
あおいおおきなおとうさんのちゃわん(ふちがかけてた)
うめのはなのえがかかれたおかあさんのおちゃわん
うさぎのえのはわたし
がんばれろぼこんはおとうと


みんなごはんつぶをふたつみっつくっつけたまま
ちゃぶだいのうえでかたかたとふるえていた
ふあんそうに

おはしはばらばらになって
とうのむかしになみにさらわれてしまったので
ゆくえしれずだ



しずみそうでしずまないふねのうえの
おとうさんとおかあさんのかなしいよこがお
ちいさなおとうとはなにもわからずに
かぶとむしにすいかをあげている


ゆらゆらゆれるでんきゅうのしたのよにんは
かおのいろがあかるくなったりくらくかげったり
あおぐろくなったりきみどりいろになったりとせわしなくて
ずじょうをいくたびもあさとよるいききしているようで
ああそうすると
ときがたつのがとてもはやくて
としつきはとぶようにながれすぎていき


とうとうおとうさんがしんで
とうとうおかあさんがしんで
ふたりのなきがらをうみにしずめて
すっかりとしをとったわたしと
すっかりとしをとったおとうとが
ぼうぜんと
ただぼうぜんとちゃぶだいをはさんで
あかるいたいようのほうをみあげている



ふねはけっきょく
さいごまでしずまなかったのだ


うみはひろいな
おおきいな



わたしたち姉弟は
何故か
とてものびのびと
晴れやかな気持ちになっていた



生まれて初めて
[PR]
by soraemori | 2010-12-19 21:23 | いつか昔に書いた詩

冬の陽だまり


陽だまりに背をこごめ
あの人が新聞を読んでいる


埃舞う窓越しの景色は
水彩画の淡い冬


あの人の背中に降り積もる
砂時計の砂粒やら
ぽつりぽつり混ざり始めた
銀色の髪の毛を
私はずっと飽かずにながめていた


そっと背中に寄り添っても
あの人は微動だにせず
あたたかな体温だけが
物語る時の流れ


ふいにこぼれそうになって
こらえた言葉を
あの人は知っていただろうか


「ありがとう」
は出てこないのだ


ただ今は
夫とふたり
とけていたいと願う
冬の陽だまり
[PR]
by soraemori | 2010-12-17 14:31 | いつか昔に書いた詩